きみがため
近頃は一層、不逞浪士の動きも激しくなってきた。
比例して新撰組の仕事も忙しくなる。
反対勢力の鎮圧。
聞き分けのない奴らは容赦なく斬り捨てる。
「……うぐ……っ…」
そうして目の前で朽ちてゆく命も見ることにも当然慣れ、チクリとも胸は痛まない。
「……それ、片付けておいて下さい。さぁ、帰りましょうか」
隊員に向けてにっこりと笑み、屯所に向かう。
刀を振るう間の僕のことを、ひとは夜叉と呼ぶ。
夜叉で居る時間が最近は多くて、笑い方を忘れそうだ。