きみがため
しかし八重は気にした風もなく、ふわりと笑った。
「お忙しい沖田様が、こうしてこの八重と時折お話して下さるだけで、とても嬉しいです」
いつもより少し頬を赤らめた八重は、一段と可愛らしく見える。
「……ありがとう。僕も……ぐ、ゴホッゴホゴホッ」
「沖田様っ」
僕は激しく咳込んだ。
この頃なんだか咳が酷い。
「……ゴホッ、大丈夫。心配しないで」
やっとの思いで咳を抑え、努めてにっこりと笑顔を向けた。