きみがため

非番の日はいつも剣道場で稽古に励む。

僕は剣でしか生きられないから。
休みと言えど、剣術を磨くことを怠りたくない。


「……ッ!ゴホゴホ、ゴホッ!」


また激しく咳込み、その場にうずくまる。


「おい、総司!」


顔を上げると、同じく稽古に来たのらしい土方さんが、心配そうに立っていた。


「顔色が悪いぞ。非番くらい大人しく休んだらどうだ」


そう言う土方さんに僕はいつもと変わらぬ笑顔を向ける。
< 22 / 71 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop