きみがため

やはり思った通り。
僕の選んだそのかんざしは八重によく似合う。


「よく似合っているよ」


僕の言葉に、八重は照れたように笑ってくれた。


「あの、沖田様……。これを持っていて頂けませんか?」


八重が差し出したのは、今取り替えたばかりの、いつも八重が使っていたかんざし。


「これを、僕が?」

「実は母から譲り受けたもので、ずっとお守りがわりに持っていたんです」

「そんな大事な物、貰えないよ」

「沖田様に持っていて欲しいんです。お身体を大事にして欲しいから……」
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