きみがため

甘味処の前を通ると、団子の誘惑に負けそうになる。

だけどあまりのんびりし過ぎると、歳さんがうるさいからなぁ。

僕は団子を諦め、その代わりに少し遠回りして帰ることにした。


街から少し外れた河原を眺めながら、ゆったり歩くのが僕は好きだ。

特に今日のような春の昼下がりは、格別に心地好い。


ふと、河原に人の姿を見つける。

薄い桜色の着物を着た、若い女性だ。
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