きみがため
*もどかしい掌
縁側に座り、ぼんやりと庭を眺める。
「……ゴホゴホ、ゴホッ!……はぁ」
僕の身体も、そろそろ使い物にならなくなり始めている。
労咳。
完治する薬のない、死に至る病……。
だからってただ終わりを待つなんてまっぴらだ。
新撰組、沖田総司として。
戦いながら終わりたい。
そんな我が儘を押し通して、僕はまだ浅葱色の羽織りを着ることはやめない。
刀を置くこともしない。
発作的に咳込むと、土方さんや近藤さんは心配そうに声をかけるけど。
僕は至って平然と振る舞う。
病の辛さなど、戦えぬ辛さに比べれば微々たるもの。