きみがため

「総司」


背後から呼ばれ、ゆっくりと振り返ると土方さんが立っていた。

心なしか睨むような土方さんに、僕はやんわりと笑んでみせる。


「具合が良くないんだろう? 大人しく寝ていろ」


僕はクスリと小さく笑って、再び庭に視線を戻した。


「部屋に篭るの、嫌いなんですもん」

「ったく……」


土方さんは僕の隣に腰を下ろす。

少しの間二人は黙った。
通り抜ける緩い風に髪がなびいた。


「池田屋を攻める」


ぽつりと、土方さんが言う。


「そうですか」

「お前、どうする?」
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