きみがため
うだるような夏の暑い日。
体調不良を訴える隊士も少なくはない。
「沖田。お前は大丈夫か?」
土方さんの問い掛けに、僕は余裕の笑みをみせた。
「どうってことありませんよ」
正直な所、身体は鉛を飲んだように重かった。
だけどそれでも他の隊士よりは刀を振るえる自信があった。
まだ、やれる。
僕は戦える。
懐に隠したかんざしを確かめるように、胸に手をあてる。
僕らは寺田屋で行われる維新志士達の会合に急襲をかけた。