きみがため

仕事を終えた僕達は、言葉少なくその場を後にする。

翻る、沢山の浅葱色の羽織り。

帰り道で土方さんが僕の肩をたたいた。


「ご苦労さん、沖田」

「やだなぁ、土方さん。お互い様ですよ……」


そこまで言って、言葉が詰まる。

息が出来ないほどに胸が苦しい。
頭が割れそうだ。


「……ぐ、…ゴホゴホゴホゴホッ、ゴホゴホ!!」

「お、おい! 沖田!」


激しく咳込む僕は、土方さんの呼びかけに答えることすらできない。


「ゴホッ!ゴホゴホゴホ……ぅぐ……かはっ!」

「沖田!」


口を押さえていた掌には、真っ赤な血。

どうやら先程の返り血ではなく、僕の血のようだ。
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