きみがため

屯所に戻ってからは一先ず薬を飲んで横になった。

シンと静まる自室で、天井をじっと見つめる。


だいぶ落ち着いたな……。


手には八重のかんざしを握っていた。

かんざしに触れていると、なぜだか不思議と落ち着くんだ。

八重の言う『お守り』も、なかなか侮れないね。


僕は八重のかんざしを握ったまま、ゆっくりと目を閉じた。

八重の花のような笑顔を頭に浮かべながら、眠りについた。
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