きみがため
チュンチュン……
今朝も清々しく晴れた。
心地の良い朝だ。
「沖田、もう良いのか?」
「ええ、もうすっかり」
廊下で会った近藤さんに、僕は緩い笑顔を向ける。
「無理はするなよ」
近藤さんの言葉に、僕はにっこりと笑った。
その日の午後、浅葱の羽織りを着て屯所を出ようとした僕を近藤さんが止めた。
だけど僕は、別に見回りは無理じゃない、と言い張って屯所を出た。
そして呆れ顔の近藤さんを振り返り、ヒラヒラと手を振ってみせる。
近藤さんはますます呆れ、諦めたようにため息をついて屯所の中に戻って行った。