きみがため
差し延べた掌に、夕べ吐いた血が残像のように映った。
触れてはいけない。
これ以上、近づくべきではない。
僕の先は長くない。
あっという間に動くこともままならなくなり、命果てるだろう。
それに僕は、人を斬ることでしか生きられない夜叉で。
八重ももっと僕を知れば、きっと僕を恐れるだろう。
そんな僕を、僕の人生を、八重に背負わせるわけにはいかない。
差し出した手を引く僕を不思議そうに窺う八重。
「沖田様?」
僕は、にっこりと口角を上げた。