きみがため
ぽつりと呟いた僕の言葉を、拾いあげるように八重は耳を傾ける。
「ただ一つ己の志に従うだけ。その道の上でなら、いつ果てようとも悔いはありません」
ゆっくりと、ただまっすぐに目の前の流れる川を見つめる。
どこからか流れて来た笹舟につられ、川下に視線を流す。
「……っゴホゴホ! ゴホゴホゴホッ!」
「沖田様!」
また突然激しい咳に襲われる。
肺に上手く空気が入らず、胸が苦しい。
八重は慌てて駆け寄り、背中をさすってくれる。