きみがため

僕は少し身構えた。

僕ら新撰組は、陰では「人斬り集団」と呼ばれることもしばしばある。


彼女の見惚れるほどの優しい瞳が、嫌悪や恐怖を映したら。

そう思うとひどく居心地が悪くなった。


しかし僕のそんな心配をよそに、彼女はふんわりと笑んだのだ。

そして僕に会釈を寄越した。

彼女の微笑みは、先程の綿毛のように柔らかで。

僕はなぜか少しどぎまぎしながら会釈を返した。
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