きみがため
「ゴホゴホゴホ!ゴホゴホ……ッ」
「沖田、もう良いから、休め」
「すみません。じゃあ、そうさせて貰おうかな」
土方さんににっこりと笑いかけてから、僕は自室に戻る。
部屋に入って襖を閉めた途端、僕はそのまま座り込んだ。
「……ふぅ」
もう立っていることすら辛い。
咳も酷く、息がしにくい。
僕の身体はいつまで持つのだろう。
八重と会わなくなってから、随分と長い月日が流れた。
だけど一向に僕の想いが消える気配はない。
かんざしがあるから、消えないのだろうか?
だからと言って捨てられない。
唯一僕にくれた、八重のかけら。