きみがため

すっかり弱くなった肺で、小さく息を吐く。


幕府の倒れた今、新撰組の存在する意味を表す大事な時なのに。

僕は、何故。

何のために、今、生きているのか。

刀を持てない僕が、何故。


苦しい。
弱った肺のせいではなく、僕の存在する意味が分からなくて、とても苦しい。

瞼を伏せると、僕はすっかり闇に包まれる。

いっそこのまま、闇に溶けてしまおうか。


だけど、そこに浮かぶのは……。


何度となく思い浮かべた、温かい八重の笑顔。


あぁ、切ない。
愛しくて堪らない。

こんな気持ち、初めて知った。

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