きみがため
こんなにも何かをひたすらに求めたことなど、これまでにあっただろうか。
一歩踏み出すごとに、身体がボロボロと崩れていくようだ。
額には嫌な汗がにじむ。
「……っぐ……ゴホゴホ!ゴホゴホゴホゴホ……」
激しく咳込んで、思わず膝に手をつく。
だけどもうすぐたどり着く。
あの、河原に。
たどり着けるなら、一目八重に会えたなら、その瞬間に息絶えたって後悔はない。
僕は自身を奮い立たせ、前へ前へと足を進めた。