きみがため

切れ切れな息の間に紡ぐ僕の言葉に、八重は静かに耳を傾ける。


「僕の人生は、赤黒い道をただひたすら走り抜けるようなものでした」


数も思い出せぬほど、多くの人間を斬り捨てる。
そうすることでしか生きられない、夜叉。


「そして走り抜けた先にあるのは、病によって倒れる終幕です」

「……病、ですか」


八重もなんとなくは気づいていたのだろう。

それが明確になったせいか、八重は辛そうに眉を寄せた。

僕は八重の目を真っ直ぐに見る。


「僕が八重さんを求めることで、そんな未来を背負わせたくなかった」
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