きみがため
翌日もほこほこと暖かかった。
そろそろ見回りにでも出ようかと思うと、昨日と同じ時刻であることに気づく。
……たまたまだ。
自分自身に言い訳をして、僕は街に出た。
街は今日も賑やかだ。
すれ違ういくつもの顔に、無意識に昨日の娘を探していた。
……あの娘は、この近辺に住んでいるのだろうか。
名は何と言うのだろう。
どんな声で話し、どんな風に笑うのだろう。
ハッとして、ぐるぐると回る沢山の思いを振り払うように、首を振った。