きみがため

優しい八重の、強い瞳に見つめられる。

僕も視線を外さなかったけど、だんだんと視界が滲んでいった。

僕はそれをごまかすように目を閉じる。


「沖田様……」


八重の鈴やかな声に導かれるように、僕はゆっくりと八重にくちづけた。

八重に触れた唇から、僕の全身に染み渡る愛しさ。

先程までの身体の辛さが、次第にしずめられていくようだ。
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