きみがため

冷静になれ。
今は女のことなど考えている場合ではない。

自らの正義を貫き、明日を切り拓くことが僕のすべてなんだ。

ちょっとばかり美しい娘を見かけただけだ。

今後何かするわけでもない。


しかし僕の足は、気付けば昨日の河原に向かっていた。


さやさやと吹く風がとても心地好く、心が落ち着く。


その時。

河原にしゃがみ花を摘む、昨日の娘を見つけた。

とくん、と小さく心臓が跳ねた。
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