恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「あたし、ダメなんだよね。
恋愛とかって、1本に全力注いじゃうから。
都築くんみたいに、何本かに力の入れ方分けられればいいけど」
口を尖らせて言う沢村。
「俺、器用だから」
ふざけてるのが分かったのか、沢村は顔をしかめる。
それから、じっと俺を見た。
「都築くんが見た、お互いに夢中になってた本宮先輩と彩香さんの恋って。
“そうなりたくない”って思うだけのモノだった?」
真剣な眼差しで見つめられて、目が逸らせなくなる。
本宮と彩香。
ふたりを思い出すと一番に浮かんでくるのは、ボロボロになった本宮だけど。
その後、際限なく浮かんでくるのは……。
ふたりの笑顔だ。