恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「あたし、ダメなんだよね。

恋愛とかって、1本に全力注いじゃうから。

都築くんみたいに、何本かに力の入れ方分けられればいいけど」


口を尖らせて言う沢村。


「俺、器用だから」


ふざけてるのが分かったのか、沢村は顔をしかめる。

それから、じっと俺を見た。


「都築くんが見た、お互いに夢中になってた本宮先輩と彩香さんの恋って。

“そうなりたくない”って思うだけのモノだった?」


真剣な眼差しで見つめられて、目が逸らせなくなる。


本宮と彩香。

ふたりを思い出すと一番に浮かんでくるのは、ボロボロになった本宮だけど。


その後、際限なく浮かんでくるのは……。

ふたりの笑顔だ。



< 100 / 448 >

この作品をシェア

pagetop