恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「自分の気持ち、差し置いてでも?」

「……」

「おまえ、本宮が好きなんだろ?」


ポスターを見つめたままの沢村が、少ししてからふっと微笑む。


「こんなに好きでも、うまくいかないね……」


沢村はそう言った後、「さてと」とかがんでポスターを拾い上げる。

そして、にこっと笑顔を作って、俺に差し出した。


「できたから、コピーよろしく」


受け取ると、沢村は俺に背中を向けて帰る用意を始める。


弱音を吐きながらも笑顔を見せる姿が、痛々しく見えた。


「―――俺だったら、相手の弱みにはとことん付け込むけど」

「え?」


振り向いた沢村が、驚いた顔で聞き返す。



< 104 / 448 >

この作品をシェア

pagetop