恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
そんな事を思いながら、水道に向おうとして……。
でも、水道行ってから保健室って面倒だから、いっそのこと保健室で水道を借りようと、下駄箱に向う。
靴を履き替えたところで、後ろからぐいっと腕を掴まれた。
「ひゃっ……」
「なにやってんの? おまえ」
「あれ……、都築くん」
左目を隠したまま右目で見て、ようやく都築くんを確認する。
都築くんはジャージを着ていて、あたしの腕を掴んだまま顔をしかめていた。
「都築くん、体育出てたの?」
「出てたけど」
「え、でも津田さんがさっき覗いたらいなかったって言ってたよ」
「……ちょっと抜けてたから、そん時見たんだろ。エサやってたから」
飼い主が見つかるまでは、今まで通り面倒を見る事になってる黒い子猫。
子猫と接する都築くんは、いつもよりも柔らかい雰囲気になって微笑ましい。
「そっか」
微笑んで言うと、その理由に気付いたのか、都築くんに睨まれる。