恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「……」
「中途半端な気持ちで応えていい相手じゃないって、おまえだって分かってるだろ」
事実なだけに、何も言えなかった。
本宮の言うとおり、沢村はきっと、いい加減な気持ちで振り向いて欲しいわけじゃない。
本宮が、“彩香を忘れさせて欲しい”って泣きつけば応えるだろうけど……。
「彩香の事を吹っ切って、沢村の気持ちに応える可能性は?」
真っ直ぐに見下ろしながら聞く。
本宮も目を逸らさずに俺を見上げていた。
「……0%」
「0って……、おまえ、いつまで引きずる気だよ。
もう3年―――……」
「尚哉」
俺を止めるように名前を呼んだ本宮が、うつむく。
そして、口許に浮かべた笑みはそのまま言った。
「……ごめん。もう勘弁して」