恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
その声が、震えてた。
風が、うつむいたままの本宮の髪を揺らす。
目の前の光景が、3年前のあの日と、ダブる。
罪悪感。自己嫌悪。憎悪。情けなさ。
色んな感情につぶされるように、うなだれた本宮が、頭の中に思い出される。
「悪い。言い過ぎた」
それだけ言って、背中を向ける。
落ち込んだ時は、決まってひとりになりたがるのを知っていたから。
「―――尚哉」
本宮の落ち着いた声が、呼び止める。
振り向くと、顔を上げた本宮が俺を見ていた。
「だから、安心しろよ」
そう言って、わずかに笑う本宮は、俺の反応を見てるみたいだった。
本宮が言いたいのは、
“唯の気持ちに応えるつもりはないから、だから安心しろよ”
多分、そーいう事。