恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
……抱き締められてる?
そう気付くまでに、少し時間がかかった。
だけど、目の前には都築くんの肩と髪ごしに、下駄箱が見えるし。
なにより……、都築くんの体温を感じる。
背中に回ってる力強い腕を、しっかりと感じる。
ハっとして都築くんに何か言おうとしたけど、言葉が浮かばない。
だからってこのままってわけにもいかないし、どうすれば……。
すっかり涙も収まって慌てていると、ぎゅっと強く抱き締められる。
「―――お疲れ」
そして、都築くんはゆっくりとあたしを離して、そのまま背中を向けた。
「あ……、うん。お疲れ様。
ホントにありがと……っ」
ぼう然としたまま思い出したように言うと、都築くんは返事の代わりに、歩きながら片手をあげた。