恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
なんで佐藤が?
そんな思いから顔をしかめて聞き返すと、本宮は首を傾げながら言う。
「佐藤って、佐藤ユカだろ? 同じ中学の。
バスケの練習もよく隠れて見てたし、おまえと一緒に校内歩いたりすると、いつもおまえの事見てた。
……今まで気付かなかったのか?」
「……全然。つーか、2年になって同じクラスになるまで、同じ高校だってのも知らなかったし」
「じゃあ、佐藤が高校に入った途端ハデになった理由も知らないだろ」
「理由?」
本宮は「やれやれ」って感じの顔をしながら、呆れたように笑う。
「おまえが遊ぶ相手のタイプが、ハデな子ばかりだったから。
尚哉と関りたくて変わったんだと、俺は思ってるけど」
「……でも、今までほとんど話しかけてきたりしてないけど」
「してないんじゃなくて、できないんだろ、多分。
分からないけどな。俺はそう考えてるってだけだし」
「……」
中学からって考えると、3年も俺に片思いしてるって事になる。
“そんなん、ありえねーだろ”
多分、本宮だとか沢村の想いを知らなかったら、そう言ってただろうけど。