恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「歩くのすげー早いな、おまえ」
「あれが普通なわけないじゃん……。競歩だよ、あんなの。
だって、周りからの視線が怖くて怖くて、普通になんか歩けないよ」
まだドキドキしてる胸を押さえながら、ため息混じりに言うと、都築くんはあたしを見て片眉を上げた。
「周りの目なんか、本宮と一緒にいる時と変わんねーだろ」
「だって、本宮先輩の事を好きな子とは正々堂々戦ってやろうって思えるもん。
だから、どんなに見られたって平気。
でも、都築くんを好きな子には申し訳ないなって気持ちになるじゃん。
両思いっぽく見せかけて、騙してるわけだし」
「気にしてんだ、そんな事」
「気にするよ。
自分の気持ちを隠さない態度って、周りにあまりよく思われないって事分かってるし。今までの経験とかで。
だから、本宮先輩を好きな子とはとことんやり合えるけど、都築くんを好きな子まで傷つけるっていうのは、主義に反するっていうか……」