恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
◇優しさのカタチ
┗唯SIDE
【唯SIDE】
「唯」
放課後の階段。
呼ばれて振り向くと、本宮先輩が微笑んだ。
先輩から声をかけてくれるたび、胸がきゅーんとする。
嬉しさを噛み締めながら見つめていると、隣に並んだ先輩が首を傾げた。
「唇、切ったの?」
「え……、あっ、はい……。
自分で噛んじゃって」
先輩には片思いしてるだけだし、後ろめたい事なんて何もないのに。
なんとなく目を合わせられなくなって、目を伏せながら頷く。
口だし、すぐ治るとは思うけど、昨日の今日だとまだ少し目立つのかも。