恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「なんで……、そんな事聞くんですか?」

「唯……、」

「あたしが誰を好きか……、知ってるくせに……っ」


涙が落ちる。

先輩を好きになってから、ずっと我慢してきた涙が。


傍にいてもいいって言ってくれたんだから、せめて迷惑はかけたくないって。

先輩の前でだけは、絶対に泣かないって、笑顔でいるって決めてたのに……。


頬を伝った涙は、あたしと先輩の間のベンチに落ちた。


先輩の表情が、申し訳なさそうに歪む。


違うのに。

先輩が罪悪感みたいなものを感じる必要なんか、どこにもないのに。


あたしが、勝手に好きでいるだけなのに……。

迷惑かけたくないのに。



一度形になった感情は、止まらずに頬を伝っていた。




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