恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「唯……、」
「あれ……、ごめんなさいっ! 違うんです!
泣くつもりなんか全然……、ホント、ごめんなさいっ!
すぐ、止まりますからっ」
今度こそ、なんとか笑おうとするのに。
先輩と一緒にいるってだけで、無条件で笑顔が出てくるハズなのに。
どうしてもそれができなくて、手の甲でぐいっと目を覆った時。
急に腕を引き寄せられる。
その反動で、持っていたカフェモカが地面に落ちたのが分かったけど……。
分かっただけで、それ以上考える余裕もなかった。
本宮先輩が、あたしを抱き締めたりするから。
びっくりしすぎて涙が止まる。
あたしの腕を引き寄せた先輩は、そのままあたしの背中に両手を回した。
ギュっと……、感情的に抱き締められて、何も考えられない。
葉っぱが、カサカサと音を立てていた。