恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「……ごめん」


その言葉が、全部を語ってるように思えた。

今のキスは……、あたしを思って、先輩がしてくれようとしてた事なんだって。


彩香さんの事、全然過去になんかなってないんだって……。


「ごめん……。また唯をキズつけた」


先輩が本当につらそうに言うから、慌てて首を振った。


先輩だって、キズつけようとしてそうしてるわけじゃないって分かってるから。


先輩は、精一杯、あたしとの接し方を考えてくれてる。

優しくしながらも期待させないように気を使ってくれてる。


勝手に泣き出したあたしを、キスまでしてなぐさめようとしてくれたんだから。

先輩が悪いんじゃない。



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