恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「本宮先輩!」
3年3組の教室。
隣に立つ沢村が後ろのドアから呼ぶと、友達と話してた本宮が振り向く。
そして、俺と沢村の姿を見て、驚いた顔をした後微笑んだ。
「ふたりで来るなんて珍しいね。なにかあった?」
近づいてから聞く本宮。
本宮が目の前まで来て立ち止まっても、沢村はうつむいたまま黙っていた。
沢村が、彩香の事を伝えたくないなら。
俺から言うつもりはなかった。
―――最初は、分からなかった。
本宮だとか彩香の、想い合う気持ちが。
沢村が、振り向く可能性のない本宮を想い続ける意味が。
でも、今なら分かる。