恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
止める方法も分からないままただ泣いていた時。
ふわっと抱き締められた。
顔を見上げなくても、誰だかすぐ分かった。
この裏庭には、あたしと都築くんしか残っていないんだから。
顔を上げられないくらいにギュッと強く抱き締められる。
熱くなった瞼も、びっくりしたせいで少し熱が引いた気がした。
泣きすぎて何も話せない状態のあたしに、都築くんが言う。
「……悪いけど、つけこませてもらう」
「……っ、都築、く……」
「俺が勝手におまえの弱みにつけこんでるだけだから。
おまえは、そのまま泣いとけ」
閉じ込めるみたいに抱き締める都築くん。
それはまるで、あたしを周りの全部から切り離してくれてるみたいだった。
ただ、自分の感情のまま泣いていいんだって、そう思えた。