恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「あいつの唯一の弱点だよな。
駅ビルとか行くと、完全に迷子になるし。
だから、ちゃんと着いたんかなってちょっと思っただけ」
「……」
「つーか、とりあえず教室戻んねー?
ここいたらいい加減風邪引くし」
雨で濡れた髪をかき上げながら言う都築くん。
それは一瞬ドキっとするくらいカッコいい仕草で、都築くんファンにとってはレアモノなんだろうけど。
今はそれどころじゃない。
「先輩がちゃんと着いてなかったら、全然意味ないじゃん!」
見上げて言うと、都築くんが顔をしかめる。
「まー、そうだけど。でも、大丈夫だろ。
場所も駅前で分かりやすいトコだったし、いくら本宮でも駅までの道は迷わねーって」
「でも先輩、普段通学するの歩きでしょ? 駅使わないし……」