恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


都築くんが、方向オンチだとか言い出すから、一気に不安になる。

……そーいえば。


「そうだ……。

あたし、先輩と初めて会ったのが駅だったんだけど……」

「あー、言ってたな。駅で修羅場になってる沢村を助けたとか」

「それ、学校帰りに先生からの頼み事で文房具屋さんに寄ろうとして……、で、迷って駅まで来ちゃったんだって言ってた……」

「それが?」

「文房具屋さん、駅とは正反対だったのに、なんでだか駅に着いちゃったって……。

あの時は、あたしに気を使ってそんな事言ったのかと思ってたんだけど……、もしかしたら本当だったとか……」

「でもそれ、2年前だろ? もう3年も通ってんだし、駅の場所くらい分かってるって」

「でも……っ、今日会えなかったら、彩香さん、もうアメリカに帰っちゃうんだよ……」


都築くんの言うとおりだと思う。

だって、3年も通ってれば駅の場所くらい分かってるだろうし、何も心配する事なんかない。

でも……、少しの不安でも、残したくなかった。



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