恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
※※※
「悪いけど俺、誰とも付き合う気ないから」
本宮先輩が口にするのは、誰が告白しても1ミリも違わない答え。
告白を断わる本宮先輩の声を、校舎の壁に隠れながら聞いていた。
あたしが知る限りでも、本宮先輩がこの1年間で振った女の子は6人。
あたしが知ってるのが全部とは思えないから、多分もっといるんだろうなぁ。
チラっと覗いてみると、泣き顔になった女の子が「分かりました……」なんてか細い声で言ったところだった。
あ……、可愛い子。
何も悪くないのに、思わずこっちが謝りたくなっちゃうような、いかにも“可愛い女の子”。
……あんなに可愛い子でも、先輩の気持ちは動かないのかな。
顔よし、頭よし、運動よし。
優しいし、人当たりもいい。
その上、生徒会長を務めている本宮先輩は、かなりのモテ男。
多分、校内で一番モテるんじゃないかな。