恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
『覗きじゃん!』
『いーだろ、どーせ明日本宮に聞くつもりだったし、手間が省けて』
『だけど……っ』
『いーから黙ってろ』
都築くんがそう言うと同時に、先輩の少し掠れたような声が聞こえた。
「俺、ずっと彩香は俺を憎んでるんだって思ってた。
俺と付き合ったりしたせいで学校辞めさせられて……、俺と父さんを憎んでるんだって。
だから、連絡できなかったんだ。
彩香がそんな想いでいてくれたのを知っていたら、すぐに会いに行ってたよ」
途中からだから話の流れが分からない。
けど……。
先輩、優しい顔してる。
傘の向こうに見える先輩の顔が、柔らかく微笑んでるのが分かった。