恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「亘を憎んだ事なんて、一度もない。

私は、亘のために付き合っていたんじゃないもの。私が望んで亘と一緒にいたの。

学校を辞めさせられたのも覚悟していた事だったし、当然だって思ってた」


初めて聞く彩香さんの声。


落ち着いていて、大人な話し方だった。

女性って感じの、意志のこもった声だった。


「今年の夏にアメリカに帰る事は、4年前、日本に来た時から決まっていたの。両親との約束だったから。

だから、付き合ってる時から、その時の事を考えると不安だった。

亘を残して、アメリカに帰るのが……。

あの冷たい家で、亘がひとりでどうやって過ごすのか……、考えただけでツラかったの」

「だったら、付き合ってる時にそう言ってくれればよかったのに」


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