恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


「まだ高校生の亘に、そこまでさせられない。

私が養うだけの力があれば、頷くこともできるけど……、無理だもの。

だから……、私ができるのは、亘に自由を与えるだけだと思ったの」


先輩はふっと笑う。

困ったような、そんな笑顔で。


「彩香は、いつまで経っても俺を子供扱いするんだな。

全部ひとりで決めて……、俺の意志は関係ないの?」

「たくさん考えても、一緒にいる方法は見つけられなかった。

ふたりで考えたって同じ事でしょう?」

「確かに……、今、一緒にいるのは難しいかもしれない。

けど、1年待ってくれたら、俺だって卒業する。3年経てば成人して、自分の思うままの道を選べるようになる。

……それまで待ってるっていう選択肢は、彩香の中にはなかった?」


微笑む先輩が、彩香さんを見つめる。

その横顔は、今まで見た事ないくらいに男らしかった。

頼もしかった。


あたしの、知らない顔だった。



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