恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
┗尚哉SIDE
【尚哉SIDE】
隣を見ると、ぼう然としたまま雨に濡れてる沢村の姿があった。
視線の先には、抱き合う本宮と彩香。
今、沢村がどんな気持ちであのふたりを見つめているのか。
考えても想像もつかないのに、なんでだか喉が詰まるくらい苦しくなった。
声をかけていいのかも悩むくらい、ただ静かに立ってる沢村。
頬を伝う水滴が、雨なんだか涙なんだか分からない。
同じように立ったまま見つめていると、それに気づいた沢村が俺を見上げた。
「ごめんね」
「なにが?」
「つき合わせちゃって。びしょ濡れだね」
笑った沢村が、自分の制服を見下ろす。
そして、笑顔のまま俺を見る。