恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
そう言って、ダンボールを持って歩き出したけど。
立ち止まったままの沢村に気付いて振り向く。
沢村は、ふてくされたような顔をして、俺を見ていた。
「都築くんって、そういうとこ無神経だよね」
「なにが?」
「だからっ、キスの事とか、平気で言っちゃったり!
あたしは内緒にしておきたいのに、そんなに軽く言って……っ」
「……沢村?」
今まで、見た事ないような顔して怒る沢村。
確かに少し無神経だったかもしれないけど、そこまで怒られる事でもない気がして、顔をしかめる。
子犬が吠えるみたいに、キャンキャンうるさく怒ってきた事は何度もある。
けど、こんな風にいじけるっつーか、ふてくされるっつーか。
そーいう風に怒ってきた事なんか、今までなかった。