恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「唯」
名前を呼ばれたのは、資料室を出て、教室に向かおうと歩き出した時。
振り向くと、本宮先輩がにこっと笑った。
「ご苦労様」
「あ、はい。先輩、どうかしたんですか?」
北校舎の一番端っこにある資料室。
資料室に用がない限り、こんなところにいるハズないのに。
先輩は困り顔で笑って説明する。
「尚哉が、唯がちゃんと運べたか心配だから様子見てこいって」
「え……」
「あいつ、ああ見えて心配性なんだな。中学から知ってるのに初めて知ったよ。
唯は知ってた?」
「……はい。結構面倒見もいいし。
色んな事、付き合ってくれるし」
第一印象とかはクールっぽいし、あんまり情とか関係ない感じだけど、実際は……。