恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*


体育館を眺める本宮の視線が、わずかに歪む。

何を考えているのかが分かったから、本宮の横顔から目を逸らした。


「生徒会に入りたいって言い出したのも、唯の方からだったんだ。

“先輩目当ての女の子が入るなら、あたしが入ります!”って意気込んじゃって。

素直でいい子なんだ。

……ただ、その分、タチが悪い」

「どうやっても、気持ちには応えられないから?」

「それだけじゃない。……唯の顔見てるとハッキリ突き放せなくなるんだよ。

いつも笑顔だけど、きっと必死に笑ってるんだろうなって分かるから。

唯のためを思えば突き放すべきなのに、キズつけるのが怖くて逃げてる」


本宮が、外を見たまま、「ダメな男だろ」って微笑む。

遠くから、バスケ部の威勢のいい声が聞こえてきて、中学の頃に戻ったような錯覚に陥りそうになる。


本宮とバスケをやっていた頃に。



< 35 / 448 >

この作品をシェア

pagetop