恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
体育館を眺める本宮の視線が、わずかに歪む。
何を考えているのかが分かったから、本宮の横顔から目を逸らした。
「生徒会に入りたいって言い出したのも、唯の方からだったんだ。
“先輩目当ての女の子が入るなら、あたしが入ります!”って意気込んじゃって。
素直でいい子なんだ。
……ただ、その分、タチが悪い」
「どうやっても、気持ちには応えられないから?」
「それだけじゃない。……唯の顔見てるとハッキリ突き放せなくなるんだよ。
いつも笑顔だけど、きっと必死に笑ってるんだろうなって分かるから。
唯のためを思えば突き放すべきなのに、キズつけるのが怖くて逃げてる」
本宮が、外を見たまま、「ダメな男だろ」って微笑む。
遠くから、バスケ部の威勢のいい声が聞こえてきて、中学の頃に戻ったような錯覚に陥りそうになる。
本宮とバスケをやっていた頃に。