恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「俺、彩香との事があってから、バスケはしなかったし、正直、できなかったんだ」
真っ直ぐにあたしを見つめている先輩。
こんな風に見つめられたのは、初めてな気がした。
先輩があたしを見つめる瞳にはいつも、罪悪感みたいなモノが混じってる事を知ってたから。
こんな真っ直ぐな視線は、初めてだった。
「何があっても、もうゴールを狙う事なんかないって思ってた。
けど、あの時……、文化祭の時。
唯と尚哉のために、ボールを持った自分がいた」
「あ……、」
思い出して声をもらすと、先輩が笑顔で言う。
「絶対に戻る事はないって思ってたコートに戻れたのは、唯と尚哉のおかげだった。
それを、伝えたかったんだ。
それだけ、唯は俺にとって大きな存在だって」