恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「モテて、沢村の大好きな“本宮先輩”を超せるって?
本宮を好きな立場からしたら、俺のがモテるとか、マズイんじゃねーの?」
「え、そうなの?
まぁ、ファン心理だったら、自分の好きな人が学校で一番モテてた方がいいのかもしれないけど……。
あたしは、先輩がモテすぎるのはイヤかな」
「ライバルが多いと、選んでもらえる可能性も低くなるから?」
「そう」
柔らかい西日が、裏庭に木の影を作る。
都築くんは、オレンジ色に染まった地面を眺めていた。
あたしも同じように視線を落として、話を続ける。
「でも、先輩は誰も選ばないから、可能性とか関係ないんだけどね」
「……理由、知ってんの?」
「知らないけど、あれだけ噂もあるし、現にいっぱい断わってるし。
先輩を好きな気持ちだったら、今まで見てきたどの子よりも勝ってる自信あるんだけど。
……頑張ってるけど、やっぱりダメみたい」