恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
うっかり弱音なんか吐いちゃったから、わざと明るく言った。
あたしが勝手に好きになって勝手に傍にいるのに、弱音吐くとか。
ありえないし。
……でも、実際は今言った通りなんだけど。
今まで誰にも言った事のない本音。
それをなんで都築くん相手に言っちゃったのかな、なんて思いながら、ソロっと隣を見る。
都築くんがどんな顔してるのかが気になって。
「―――沢村がダメなんじゃねーよ」
見た途端、そう言われる。
都築くんは、茂みの中に帰っていく子猫を見つめていた。
「どういう意味?」
「本宮は……、3年前に別れた女が忘れられないだけだから。
沢村がダメなんじゃない。
その女以外なら、誰でもダメなんだよ」
さぁ、と吹く風が、都築くんの茶色い髪を揺らす。
都築くんの瞳が、過去でも見てるみたいに遠くを眺めていた。