恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
そこまで話すと、都築くんは少し黙った。
木の葉が揺れてぶつかる音だけが、静かな空気の中で聞こえる。
そんな音をしばらく聞いてから、都築くんが言った。
「その頃だと思う。
本宮と彩香が付き合い始めたのは」
「……え、」
生徒と、教師なのに?
そんな事を思いながらも何も聞けずにいると、都築くんが続ける。
「多分、本宮にとっては、彩香は初めて心を開ける大人だった。
同時に、大切な女だった」
「……」
「あいつの入れ込み具合は、俺から見てもどうかと思った。
だから、何度かからかったりもしたけど……。あいつが真剣だって分かってからは、何も言えなくなった。
言えなくなったっつーか、言っちゃいけない事みたいに感じたんだよな、なんか分かんねーけど」
「……先輩が、あまりに想ってたから?」