恋愛ジャンキー *-甘い蜜に溺れて-*
「彩香とバスケ、そのふたつを手に入れて、本宮の気持ちが充実してるのが見て分かった。
……けど、それに気付いたのは、俺だけじゃなかった」
「……先輩のお父さんが?」
遠慮がちに聞くと、都築くんは目を合わせる事なく頷いた。
「息子と教師の恋愛なんか、本宮家にとっては公にしたくない事だった。
政治家なんか人気商売だし、そんなんバレたらアウトだろ。
……まぁ、一般的に本宮と彩香の関係は許されるモンじゃなかったから、仕方ねー事だったのかもしれないけど」
都築くんの顔が曇る。
そして、言いづらそうに顔を歪めてから、ゆっくりと続けた。
「だから……、裏から手を回して、彩香をクビにした。
彩香が一方的に本宮に手を出してるって、学校側に話して」
「え……、」
「彩香は、それを否定しなかった。多分、本宮を守ったんだろ。
彩香の言い分を全面的に信じた学校側は、本宮の親父の事もあってだろうけど、本宮の処分はなしにした。
その事に本宮が抗議しても、教師は誰も聞く耳を持たなかったんだ」